明るくて気さくな女主人、蔡さんが彩香から独立して新たに「状元郷」のオーナーになりました。2011年の春、状元郷という店名はそのままにリニューアルオープンしてメニューが一新、台湾料理のお店として生まれ変わっています。
「台湾料理が好きで、台湾料理が食べられるお店に挑戦したかったのです。台湾料理はスパイシーな調味料が特徴的で、タレにニンニクをたっぷり使っていたり、お酒がすすむものが多いですね。日本人の味覚にも馴染むと思うのですが、まだあまり知られていない。彩香のような大きいお店と違って、このくらいの大きさだと私の好きなようにできるかなと思って始めました」
かつての状元郷は中華街でも数少ない「気軽にお酒が飲めるお店」として有名でした。
食事がメインの中華街はお店が閉店する時間も早めで、料理のポーションも多めであるため、少人数で気軽に一杯飲むとなるとどうしても限られたお店になってしまいます。その中で状元郷は閉店時間は遅く、酒肴になる料理が多いことで知られていました。お酒の好きなお客様に愛されるお店というコンセプトは、蔡さんがオーナーになってさらに磨きがかかっています。こちらは今、中華街でも有数のお酒が売れているお店かもしれません。
「食事が終わって一杯飲みたいという方が多いですね。遅めの時間が人気です。近所に住んでいる人が仕事が終わってから来ることも多いですよ」
蔡さんの気さくな人柄に誘われて、遅い時間の状元郷は、周辺で働く人々が毎晩のように集い、さながら同窓会のような盛況ぶりです。
このお店でぜひ食べてもらいたいのが「台湾パイコー飯」です。
下味を漬けて揚げた豚バラ肉がご飯にのった台湾の庶民の味です。中華街のほとんどのお店でパイコー飯といえば青菜とパイコーに醤油味の餡をかけた餡かけ飯ですが、台湾のパイコー飯は独特の甘辛いタレをさらっとかけた別の料理です。
カラッと揚がったパイコーはあっさりしてとても優しい味です。同じ豚肉の揚げ物のトンカツとも違います。飲んだ後のシメとして、ぜひ試してもらいたいですね。私はお酒を飲む前に食べたり、お酒を飲んだ後にも食べたりしていますが、まったく飽きません。
パイコーを単品のつまみ(700円)として出してもらえるので、最初から最後までパイコー尽くしで楽しむこともできます。
また、蔡さんがこれも美味しいよと勧めてくれたのが「スルメイカの冷菜」です。甘みの強いチリソースが美味しいメニューです。「台湾の味が好きなお客様が増えてくれれば、もっと多くの台湾料理をメニューに入れたいと思っています」と蔡さん。
中華料理は地域ごとに多彩な特徴があるものです。中華街では、地域を限定しない一般的な中華料理の他は、ほとんどのお店が広東料理を売りとしています。四川料理、上海料理、北京料理のお店も比較的多いですが、台湾料理、西安料理、福建料理、湖南料理となると、数えるほどしかないのが現状です。
状元郷のリニューアルを機に、中華料理の地域ごとの多彩な味の世界が、中華街でより一層発展することを期待しています。
台湾料理 状元郷
「干し大根の玉子焼き」(800円)や「シジミの醤油漬け」(600円)など台湾家庭料理を本場そのものの味で提供。
写真は「台湾パイコー飯」(900円)、「スルメイカの冷菜」(800円)。
※価格はすべて税込価格です。
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