一般的に紹興酒は上記のような行程でつくられていますが、この「(4) 仕込み」から「(8) 熟成」の過程は、近代的な大型タンクを使用する場合と、紀元前700年以前から続く伝統的な手法でカメの容器のまま「(8) 熟成」までを行う場合があります。
 
伝統的なカメを使用した製造の場合、「(4) 仕込み」と「(5) 主発酵」を500リットルのカメで、「(6) 後発酵」から「(8) 熟成」までを24リットルのカメで行い、濾過や検査がされた後に市販のカメやビンに入れられます。
 
「(6) 後発酵」の過程で二次発酵を経たお酒は、布のフィルターで「もろみ」から圧搾・分離されて再び24リットルのカメに入れて貯蔵熟成されます。「(8) 熟成」の後、24リットルのカメから原酒を取り出し、澱引きや酒質確認を行い、90度程度に加熱殺菌する火入れをした後に、5リットル、9リットル、23リットル、24リットルのカメに詰められ、輸出されて我々の目の前に登場します。

 
 古越龍山「伝統と近代化・古越龍山製法」



古代ギリシアを発祥として7世紀頃まで、ワインがアンフォラと呼ばれる陶器で運搬されることはありましたが、現在、世界中でカメで貯蔵熟成されるお酒は、沖縄の泡盛と紹興酒だけです。ワイン、ウィスキー、ブランデーなどは木樽で貯蔵されています。
 
紹興酒のカメの多くは、江蘇省長興で作られています。カメの素材は、カオリナイト(カオリン)やモンモリロナイトを含んだ粘土を原料にしています。この粘土は、吸水性が優れていて、陶器作りにもよく使用されています。整形乾燥して釉薬が塗られた後に、1,100〜1,300度の窯で焼かれて作られます。
 
カメに使われる粘土は、吸水性が優れているため多量の水を含み、高温で焼かれることで 水分が蒸発します。カメの表面に多穴性(微細いな穴が多い)があるのは、この水分の抜けた後と言われています。この微細な穴が極少量の外気との呼吸や極少量のお酒のしみ出しを行なっていると言われています。また原料の粘土の成分は、鉄、マグネシウム、石灰などの鉱物を含んでいます。成分は極微量で人体に何らかの影響を与えるものではありませんが、長年お酒に触れていると お酒に影響を与えます。素材の陶器から溶け出したこれらの成分の一部がお酒のタンパク質などの成分と結合して澱(おり)となり沈殿します。このことによって清んだ紹興酒が生まれます。
 
同様に、お酒に含まれる有機酸はカメの成分と結合して塩の結晶となり沈殿します。このことによって、お酒の酸味の鋭さを消し、味をまろやかにすると言われています。
 

 
紹興酒の呼称で「花彫り」というものを耳にしたことがあるかもしれませんが、「花彫り」紹興酒には2つの意味があります。
 
ひとつは紹興市人民政府が認めた良質の紹興酒の意味です。カメに花の絵を彫りって貯蔵され、出荷される際にカメや瓶に記載されます。
もうひとつは、女の子が生まれた時にお酒を地中に埋め、結婚式に客をもてなす時にふるまったり、財産としてお酒を持参する時などカメの外側に「物語」や「故事」などで色とりどりに飾り付けたカメを紹興地方では花彫りと呼んでいます。
 古越龍山「伝統と近代化・古越龍山製法」

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