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格式ある結婚披露宴・宴会場として広く知られる明治記念館。明治神宮での挙式を経て、明治記念館の披露宴に親族や友人を招く、そんな婚礼に憧れる新郎新婦も少なくない。これまで披露宴の料理といえば、日本料理やフレンチと相場が決まっていた。ところが最近の明治記念館では中国料理に人気が集まっている。形にこだわらない披露宴を求めるお客様が増えてきたというのも一因だろうが、何よりも料理を提供する竹游林の営業スタイルが大きいだろう。
披露宴の料理といえば、値段ごとにコースが用意されているのが通常である。ところが竹游林では、お客様1組ひと組からのリクエストにこたえてコースを組んでいるのだ。
「値段ごとの基本設定はありますが、料理相談という形でお客様とメニューを組み立てていくことを行っております。明治記念館での披露宴にお出しするお料理はフレンチ、イタリアン、日本料理とありますが、ご希望されたお客様すべてと相談をするのは中国料理だけです」
小安料理長は簡単に言うが、店舗を営業しつつ、年間約100件の披露宴にも料理を提供している。これは相当な手間も時間もかかる、膨大な労力である。
「料理の相談をすることで直接お客様の声を聞くことができます。メニューを相談できるので中国料理にしましたというお客様も多いようです」
もちろん何でも融通が利くわけではない。「自分たちの食べたいものを組み込みたいとおっしゃる方は多いのですが、あまりに自分の好みを前面に出すよりも、披露宴にいらっしゃる方を思い遣ったメニューをおすすめしています。披露宴の出席者はお世話になっている方々でしょうから、年輩の方が多ければそうした方に向いたお料理をベースにした方がいいですし、適宜アドバイスをさせていただいています」
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どのように優れたサービスがあっても、肝心の料理自体がおいしくなければ、人気が高まることはない。
「ご婚礼のお客様が下調べとして私どもの店にお見えになるかもしれません。披露宴につながっていくような料理をお出しするように心がけています。竹游林で料理を食べて美味しかった。だから中国料理で披露宴をしたい。そう思われるような料理をお出ししたい」
実際に、竹游林での食事が美味しかったからと披露宴の相談に来る人は多く、これはお店からすれば毎日抜き打ちチェックを受けているようなものでまったく気が抜けない。毎日が真剣勝負である。
華やかな宴席での中国料理といえば、やはり一番人気はふかひれ。小安料理長にとっても自信作だ。「ふかひれはうちの看板料理です。上海風のスタイルをとっていまして、約8時間かけて煮込んだ白湯スープを使ってお出ししています」
茶色の醤油あんのスープに浮かぶ竹游林の「ふかひれの姿煮」は、まさに祝いの席にふさわしい豪華な逸品。コラーゲンが溶けだした濃厚な深い味と食欲をそそるエキスの香りは、官能的な満足を舌に約束する。また祝い事には欠かせないのがアワビ。「アワビのクリーム煮」はベーシックな中国料理だが、こちらのアワビは食べて驚く。とにかくクリームが美味しい。
「乳脂肪30%の生クリームを鶏のスープで伸ばしてあります。一般的なクリーム煮より濃いと思いますよ。スープよりクリームの方が量が多いぐらいの配分で煮ています。いろいろ試しましたが、乳脂肪が40%だと重くなりすぎますね」
「大正エビのチリソースとオーロラソースの盛り合わせ」は、コース料理「瑠璃コース」から。チリソースはきちんと辛く、辛みがダイレクトに刺激する。オーロラソースはマヨネーズの酸味が強く出て2つの味のそれぞれのメリハリが利いている。エビは弾力が生かされ、いくらでも食べられそうだ。どの料理も、宴席を意識してオーソドックな見かけだが、味はしっかり骨太。食べた満足感がとても高い。
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竹游林の料理は小安料理長の料理である。何料理かと聞かれるのが困る、と苦笑いする。
「ふかひれは上海風が一番美味しいと私が思うので上海スタイルでお出ししていますが、では他も上海スタイルかというとそんなことはありません。フレンチの技法も取り入れますし、料理ごとに変えています」
中国料理は広東・上海・四川・北京の4大地方料理を基本に持つが、小安料理長はそうした区分にはこだわらず、自身が一番美味しいと思ったスタイルで料理を提供している。
「中国料理というイメージの持つ油の量は減らして、こってり重い料理ではなく、全体としてあっさり食べていただけるような料理を目指しています」
自由闊達な料理人の腕を味わうには、決まったコース料理よりも料理人の自由な組み立てが向いている。
「お任せ料理が多いんですよ。5,000円でお任せ、7000円でお任せといったコース料理(2人以上・要予約)ですね。単品メニューにないものをお出ししているので、食べていただきたいですね」
日々、来客者のさまざまな要求に応えながら鍛え上げられた料理人の味は、誇りに満ちている。
「ただ料理を提供するレストランではなく、明治神宮や明治記念館の歴史や格式といった看板を背負っています。その看板にふさわしい料理を提供することを日々心がけています」
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